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めにきくくすり

よくお金の夢を見ます。

ミステリーのトリックとか、技法とか

 ミステリーのトリックや書き方についての出典などなど。


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トリック全般

「類別トリック集成」江戸川乱歩(『続・幻影城』所収)
 【評論】
 【分類:トリック全般】821例を蒐集。
 【ネタバレ度:中】
 昭和28年、「宝石」誌上で発表。
 記述は簡潔で玄人向き。
 光文社文庫版には、原題による出典一覧が附属している。

『探偵小説の「謎」』江戸川乱歩
 【エッセイ】
 【ネタバレ度:高】
 乱歩の随筆からトリックに関するものをまとめたもの。「類別」と比べると記述が詳細。密室の機械トリックによる施錠は図入りで理解しやすい。

「トリック分類表」中島河太郎山村正夫(「推理小説研究」第七号所収 1969)
 【分類:トリック全般】約150例。
 【ネタバレ度:高】
 松本清張の要請により「類別」を追補する目的で作製された。
 収集されたトリックの出典は、国内作家の作品が多い。

『ミステリ百科事典』間羊太郎
 【エッセイ】
 【ネタバレ度:中】
 テーマ別にミステリーのトリックを中心とした薀蓄がまとめられている。
 旧版である社会思想社の現代教養文庫版では新保博久による補訂が加えられている。
 文春文庫版では、教養文庫版で漏れた項目も収録され、完全版となっている。

『トリック交響曲泡坂妻夫 時事通信社 1981
 【エッセイ】
 【分類:トリック全般】
 【ネタバレ度:中】
 《Ⅵ トリックの交響曲(シンフォニー)》では、ミステリーと奇術のトリックを融合して、《未知の現象》《事実の誤認》《知覚の限界》といった原理別に分類。

『ミステリイ・カクテル』渡辺剣次 講談社 1975
 【ガイドブック】
 【ネタバレ度:中】
 「類別」の分類に準じミステリーのトリックを解説。目新しさはないが、作例の更新という価値がある。

『人間・松本清張福岡隆
 【評伝】
 【分類:トリック全般】
 【ネタバレ度:高】
 《第十七話 トリックの分類表》は「類別」との重複が多いものの、それ以後のトリックもいくつか収集されている。

「探偵小説講座」横溝正史(『トランプ台上の首』所収)
 【エッセイ】

『夢探偵 SF&ミステリー百科』石川喬司
 【ガイドブック】
 所々にトリックへの言及もある。

『新 海外ミステリ・ガイド』仁賀克雄
 【ガイドブック】定番。
 【ネタバレ度:中】
 《第4章 ミステリのトリック》は概括的なトリックの解説。

本格ミステリの王国』有栖川有栖
 【エッセイ】
 《トリックの創り方 第十一講 トリック・ア・ラ・カルト》では、「類別」で《其他の各種トリック》とまとめられた部分の新たな仕分けを提案。
 《名探偵にとって迷惑な犯人像ベスト9》も興味深い。
  9位 なかなか殺さない犯人
  8位 犯行を予告する犯人
  7位 やたら殺す犯人
  6位 探偵を襲う犯人
  5位 専門知識を駆使する犯人
  4位 間違い殺人をする犯人
  3位 手掛かりを残さない犯人
  2位 偽の手掛かりを残す犯人
  1位 華のない犯人

『ミステリー 殺しのテクニック』殺人トリック研究会/編著 三一書房 1993
 【分類:トリック全般】乱歩の分類に準じて解説。
 【ネタバレ度:中】

『探偵小説美味礼賛1996』佳多山大地・鷹城宏
『ミステリ評論革命』同
『謎解き名作ミステリ講座』佳多山大地
新本格ミステリの話をしよう』同
 【評論】
 【ネタバレ度:低~高】
 佳多山氏の書評はネタバレが多い。←非難しているわけではありません。

藤原宰太郎のトリック・クイズ本
 【ネタバレ度:高】
 一般向けの本でありながらネタバレが激しい。
 『交通ミステリー博物館 おもしろ推理パズルpart2』『おもしろ推理パズルpart5 密室トリック大全集』(光文社)など。


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密室

『三つの棺』ジョン・ディクスン・カー
 【長編】
 【講義:密室】
 【ネタバレ度:中】
 フェル博士による、ミステリー史上でもっとも有名な密室講義。
 《まちがいなく密閉された密室があり、その中で犯罪が行われたが、殺人犯はそこから脱出しなかった。なぜなら、実際には殺人犯がその部屋の中にいなかったからである》という場合、及び《ドアの鍵が内側から閉じられていると見せかける仕掛け》とに分別。
 前者については、
 一、偶然によって密室となった。
 二、自殺や事故死に追いこむ。
 三、機械的な仕掛けによる殺人。
 四、殺人に見せかけた自殺。
 五、一人二役によるアリバイ。
 六、遠隔殺人。
 七、早業殺人。

『帽子から飛び出した死』クレイトン・ロースン
 【長編】
 【講義:密室】
 【ネタバレ度:中】
 上記『三つの棺』の分類に新たな項目を追加。
 犯人は犯行後もそのまま室内にとどまり、誰かが扉を開いたら、犯人は扉と壁の間に隠れ、周囲の注意が死体に向いている隙に、室外に脱出するという方法。

『悪霊の館』二階堂黎人
 【長編】
 【講義:密室】
 【ネタバレ度:中】
 《二階堂蘭子》シリーズ。
 一、鍵の施錠に関する方法等で密室を構成するもの。
  ○被害者自身が施錠
  ○偶然に施錠
  ○二つの鍵のすり替え
  ○密室ではないのに密室と錯誤させ、室内に入った後で施錠する
  ○機械トリックによる施錠
  ○複数の錠前の組み合わせで、完璧な密室に見せかけるもの
 二、殺人手段に関する方法等で密室を構成するもの。
  ○他殺を装う自殺
  ○事故死
  ○被害者自らの手で死に至らしめるもの
  ○遠隔殺人
  ○機械的な殺人装置
  ○動物などによる殺人
  ○密室内からの凶器の消失
 三、犯人及び被害者の部屋の出入りで密室を構成するもの。
  ○犯人は室内に隠れており、密室が破られた後、脱出する
  ○実際よりも前に犯行があったと思わせる
  ○実際よりも後で犯行があったと思わせる
  ○逆密室
  ○意外な出入経路
  ○死体を投げ込む

「密室犯罪学教程 理論編」天城一(『密室犯罪学教程』所収 2004)
 【評論】
 【分類:密室】
 【ネタバレ度:高】
 作品名まで明かしているのがポイント。
 昭和30年代に「宝石」で発表された「密室作法」もおまけで載っている。

『8の殺人』我孫子武丸
 【長編】
 【講義:密室】
 【ネタバレ度:中】
 《準密室》も含むのが特徴。
 《完全に密閉されてはいないが、目撃者の証言、雪の上の足跡などといったものから考えて、誰も出入りしたはずはないと結論される――そういったものを『準密室』と呼ぶ》
 準密室の分類。
 (1)証人が嘘をついている場合。
 (2)証人が見ていない間に犯人が通った場合。
 (3)犯人が事件の起こるずっと前に部屋に侵入していた場合。
  (a)犯行後、見つからずに脱出。
  (b)犯行時刻を実際よりも後に錯誤させる。
 (4)監視の目に触れない位置から、被害者を殺害し、逃走した場合。←『視線の密室』特有の場合。
 密室殺人一般の分類。
 第一、犯人は確かに中に入って被害者を殺し、出た。
 第二、他殺のように見えるがそうではない。
 第三、犯人は確かに部屋に入って殺したが、部屋を出なかった。
 第四、犯人は中に入らずに、殺した。
  (a)遠隔殺人。
  (b)被害者が外にいた。

『ローウェル城の密室』小森健太朗
 【長編】
 【講義:密室】
 【ネタバレ度:中】
 兇器の移動に注目したところが特徴。
 (A)完全な密室……人も兇器も密室の境界を渡っていない。
 (B)不完全な密室……人あるいは兇器が密室の境界を渡っている。
  (a)犯人以外のもの、つまり動物を含めた兇器が通りえた場合。
  (b)犯人が通りえた場合。
 (C)錯覚によって密室と思われたが、実は密室ではなかった。
  (a)時間的錯覚を利用したもの。
  (b)空間的錯覚を利用したもの。

『美の悲劇』木々高太郎
 【長編】未完。
 【講義:密室】

『13人目の探偵士』山口雅也
 【長編】
 【講義:密室】
 【ネタバレ度:中】
 ヘンリー・ブル博士による講義。
 (A)〈犯行時、犯人が室内にいた場合〉
 (B)〈犯行時、犯人が室内にいなかった場合〉
 (C)〈犯行時、被害者が室内にいなかった場合〉
 というオーソドックスな大分類と、〈被害者〉〈犯人〉〈部屋〉〈兇器〉という要素分けが特徴。

『ミステリアス学園』鯨統一郎
 【長編】
 【講義:密室】
 【ネタバレ度:中】
 薔薇小路亜矢花による講義。
 1・被害者が死んだ後に犯行現場が閉じられた場合。→鍵・施錠のトリック
 2・犯行現場が始終閉じられていた場合。→遠隔殺人
 3・閉じられていた犯行現場が、被害者が生きているうちに開かれた場合。→早業殺人
 4・犯行現場が始終開かれていた場合。→抜け道・雪密室

「密室(ひめむろ)の如き籠るもの」三津田信三(『密室の如き籠るもの』所収)
 【短編】
 乱歩による密室の三分類に四番目の項目を追加。
 (4)犯行時、室内に犯人だけがおり、被害者はいなかったもの。

“Locked room murders and other impossible crimes:Revised and expanded”ロバート・エイディー
 【評論】
 【ネタバレ度:高】
 2000例以上の密室・不可能犯罪を紹介。

『白い僧院の殺人』カーター・ディクスン
 【長編】
 【分類:密室】密室殺人を行う犯人の動機の分類。
 一、自殺に偽装するため。
 二、鍵を持っていた特定の人物を疑わせるため。
 三、犯罪の立証を妨げるため。

『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』麻耶雄嵩
 【長編】
 【分類:密室】《密室作製の動機》について。『白い僧院』の分類に項目を追加。
 ①自殺に偽装するため
 ②特定の人物を疑わせるため
 ③犯罪の立証を妨げるため
 ④偶然、密室が構成された
 ⑤犯人が虚栄心を満足させるため、必要もないのに密室を作った
 ⑥職業的義務感

掟上今日子の密室講義」西尾維新(『掟上今日子の挑戦状』所収)
 【短編】
 【講義:密室】
 【ネタバレ度:中】
 本書の講義も《密室作製の動機》の系列に連なる。

『密室殺人大百科(上) 魔を呼ぶ密室』二階堂黎人/編 原書房 2000
『密室殺人大百科(下) 時の結ぶ密室』同上
 【アンソロジー】【短編】【評論】密室について。
 「密室ミステリ概論」ロバート・エイディー(『(上)』所収)
 「死への密室」愛川晶【短編】【分類:密室】《根津愛》シリーズ。
 「時の結ぶ密室」柄刀一【短編】【分類:密室】
 「密室講義の系譜」小森健太朗【評論】(以上『(下)』所収)

「密室殺人」高木彬光(『随筆探偵小説』所収 鱒書房 1956)
 【エッセイ】
 【ネタバレ度:高】
 事件現場をイラストにして紹介。31例。

有栖川有栖の密室大図鑑』有栖川有栖・磯田和一 現代書林 1999
 【ガイドブック】
 【ネタバレ度:低】
 上記と同じ趣向。40例(文庫版41例)。

『密室入門』有栖川有栖・安井俊夫
 【対談】
 リアルな鍵の描写に役立つ。

『完全版 密室ミステリの迷宮』有栖川有栖監修
 【ガイドブック】
 【ネタバレ度:低】
 密室全般の案内。

『逃げろ! 世界脱獄・脱走物語』三國隆三
 【ガイドブック】
 【ネタバレ度:高】
 《インテルメッツォ 密室からの脱出【推理編】》はミステリーに描かれた密室からの脱出トリックを紹介。

『娯楽としての殺人――探偵小説・成長とその時代――』ハワード・ヘイクラフト 林峻一郎訳 国書刊行会 1992
 【評論】
 《密室(ロックド・ルーム)の謎は避けよ。今日でもそれを新鮮さや興味をもって使えるのは、ただ天才だけである。》

「密室論」佐藤俊(紀田順一郎)(『幻想と怪奇の時代』所収)
 【評論】
 《密室に夕暮が訪れた。カンヌキのかかった厚い扉をこじあけようとする者は、すでにいない…》


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足跡

『吸血の家』二階堂黎人
 【長編】
 【講義:足跡】
 【ネタバレ度:中】
 《二階堂蘭子》シリーズ。
 一、犯行現場への足跡の行きと帰りを紛らわすもの(主に、後退りをして足跡を残すことが多い)。
 二、足跡に細工をしてごまかすもの。
 三、足跡を残さないもの。
 四、被害者の移動が絡むもの。
 五、現場に隠れていて、事件発覚後に逃げ出すもの。
 六、時間的錯誤。
 七、殺人現場に、加害者が存在しないもの。
 八、遠隔殺人。現場に近づかず、遠くから殺人を犯すが、至近距離で殺人が行われたように見えるもの。
 九、自動殺人(主に機械的工作による)。


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アリバイ

『マジックミラー』有栖川有栖
 【長編】
 【講義:アリバイ】
 【ネタバレ度:中】
 《火村英生》シリーズ。
 ①証人に悪意がある場合(証人が嘘をついている)
 ②証人が錯覚をしている場合
  (a)時間(時計の細工など)
  (b)場所
  (c)人物(替え玉)
 ③犯行現場に錯誤がある場合(死体移動)
 ④証拠物件が偽造されている場合(写真トリックなど)
 ⑤犯行推定時間に錯誤がある場合
  (a)犯行を実際よりも早く偽装する場合
  (b)実際よりも遅く偽装する場合
 ⑥ルートに盲点がある場合
 ⑦遠隔殺人
  (a)機械的トリック
  (b)心理的トリック
 ⑧誘導自殺
 ⑨アリバイがない場合
 ※この分類は「オノコロ島ラプソディ」(『高原のフーダニット』所収)にも再登場していて、⑧は《被害者を何らかの方法で自殺に誘導する場合》、⑨は《「犯行があった時間に僕は遠くにいて、こんなものを目撃しました」と出鱈目を言うたら、それが的中してしまった、という場合》とされている。

「即席アリバイ・トリック調理法」鮎川哲也(「推理小説研究」第七号所収 1969)
 【エッセイ】

「アリバイ・トリックについて」(『本格ミステリーを楽しむ法 鮎川哲也推理エッセイ大全』所収 晶文社 1986)鮎川哲也
 【エッセイ】
 (イ) 犯行時刻を実際よりも早くみせる。
 (ロ) 犯行時刻を実際よりも遅くみせる。
 (ハ) 犯行時刻を実際にあったとおりに認識させる(犯行時刻に容疑者は犯行現場から遠く離れた場所にいた)。

『ミステリアス学園』鯨統一郎
 【長編】
 【講義:アリバイ】
 【ネタバレ度:中】
 薔薇小路亜矢花による講義。
 1・被害者の事象に細工、錯誤がある場合。
 2・加害者の事象に細工、錯誤がある場合。
 3・その他(主に殺害方法)の事象に細工、錯誤がある場合。

時刻表
 人によってはこれを眺めているとトリックが浮かび上がってくるらしい。
 作中に本物の時刻表を刷り込んだのは、鮎川の『ペトロフ事件』が嚆矢。


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毒殺

『緑のカプセルの謎』ジョン・ディクスン・カー
 【長編】
 【講義:毒殺】ただし、犯罪実話的性格が強い。
 【ネタバレ度:低】

『天狗の面』土屋隆夫
 【長編】
 【講義:毒殺】
 【ネタバレ度:中】
 (イ)心理的トリック
  毒を毒以外のものであると騙し、服用させる
  心中を持ちかけるが、犯人は死なない など
 (ロ)機械的トリック
  歯に毒薬を仕込む
  切手の裏に毒を塗る
  毒を遠くから容器に投げ入れる
  比重の違いを飲み物に利用
  氷に毒薬を込める など
 (ハ)誤断的トリック
  間違い殺人だと錯誤させる
  偶然、事故を装う など
 (ニ)その他のトリック
  誤解に基づいた毒の摂取、投与 など

「早分り毒殺チャート」新保博久(『推理百貨店 本館』所収 冬樹社 1989)
 【ガイドブック】「別館」もあり。
 【分類:毒殺】
 【ネタバレ度:高】
 チャートの縦軸に《毒殺投与の機会トリック》《同 媒介トリック》《同 方法トリック》、横軸に《毒薬の性質を利用》《被害者の心理・行動を利用》《有害物を無害に見せる》《その他の各種トリック》を設定。


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ダイイング・メッセージ

『13人目の探偵士』山口雅也
 【長編】
 【講義:ダイイング・メッセージ
 【ネタバレ度:中】
 ベヴァリー・ルイスによる講義。
 (a)メッセージの途中で被害者の体力が尽きて、中途半端な形になった場合。
 (b)被害者にとっては単純明快に事態を説明しているつもりでも、受け取る側の知識不足で、わからなくなる場合。
 (c)犯人がまだその場にいるので、犯人には悟られず、捜査側にはわかるような工夫を被害者がした場合。
 (d)被害者は完成させたつもりだったが、手違いや受け取る側の観察不足で未完成に見えた場合。

ラグナロク洞 《あかずの扉》研究会影郎沼へ』霧舎巧
 【長編】
 【講義:ダイイング・メッセージ
 【ネタバレ度:中】
 ダイイング・メッセージの《作成編》が含まれるのが貴重。
 鳴海雄一郎による講義。
 《作成編》
 1、口で言う。
 2、書き残す。
 3、物で示す。
 4、体で示す。
 《解読編》
 1、メッセージ通りの意味を示すもの。
 2、メッセージ通りの意味ではないもの。
  A、誤認。
  B、意図的な間違い。
  C、認識の不一致。
  D、不可抗力。
  E、第三者による細工。
 3、メッセージの意味がわからないもの。
  A、知識不足。
  B、作為。
  C、不可抗力。
 二本松翔によって加えられた項目。
 4、メッセージではないもの。

『ミステリアス学園』鯨統一郎
 【長編】
 【講義:ダイイング・メッセージ
 【ネタバレ度:中】
 小倉紀世治による講義。
 被害者の残したダイイング・メッセージがなぜ読みとれなかったのかのパターン化。
 1・ダイイング・メッセージを残したのに、被害者の意図がうまく伝わらない場合。
 2・ダイイング・メッセージ作成途中で被害者が息絶える場合。
 3・被害者の残したダイイング・メッセージに犯人が細工をした場合。
 4・ダイイング・メッセージが真実を伝えていない場合。

「水のそとの何か」倉知淳(『猫丸先輩の空論』所収)
 【短編】
 【講義:ダイイング・メッセージ
 【ネタバレ度:中】
 猫丸先輩による講義。
 ダイイングメッセージが読み取れない理由。
 ① 被害者が途中で力尽きた場合。
 ② 被害者と捜査する側に、知識のギャップがある場合。
 ③ 最初から難解な場合。
 ④ メッセージの一部、もしくは全体が改変されている場合。
 ⑤ 本当はダイイングメッセージでも何でもなかった場合。
 ⑥ メッセージの受け手があまりにも鈍くて意味が判らない場合。

『黄色い部屋はいかに改装されたか?』都筑道夫
 【評論】
 【ネタバレ度:中】
 《7 末期のメッセージ》
 ダイイング・メッセージの指し示すものがわからなくなる理由。
 ひとつ、途中で体力がつきて、中途半端なかたちになった場合。
 ふたつめ、被害者にとっては明白だが、受け手の知識不足でわからなくなる場合。
 みっつめ、犯人にはわからないが、捜査官にはわかるような工夫を被害者がしなければならなかったため。

エラリー・クイーン論』飯城勇三
 【評論】
 【ネタバレ度:高】
 《第六章 女王の伝言――クイーン作品のダイイング・メッセージについて考察する》

『Xの悲劇』エラリー・クイーン
 【長編】
 《彼は、死ぬ直前のほんのわずかな時間に、自分が残すことのできる唯一の手がかりを残したのです。このように――死の直前の比類のない神々しいような瞬間、人間の頭の飛躍には限界がなくなるのです》(鮎川信夫訳 創元推理文庫
 ドルリー・レーンのこのくだりは有名。


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顔のない死体

『首無の如き祟るもの』三津田信三
 【長編】
 【分類:顔のない死体】あまりミステリー的ではないが……。
 【ネタバレ度:低】


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消失

『凶鳥の如き忌むもの』三津田信三
 【長編】
 【分類:消失】主に密室からの人間の消失について。

『青銅ランプの呪』カーター・ディクスン
 【長編】
 ミステリーにおける最も魅力的な発端は《人間消失の謎》であるとした、カーとクイーンのエピソードが、巻頭の献辞に記されている。
 《この作品のなかで展開されているようなかたちでの“奇蹟”の謎が――“密室”でないことをあらかじめことわっておかねばならないとしても――推理小説におけるいわば指し始めの一手としては最も魅力的なものであるという点で、わたしたちの意見が一致しているからである。わたしはここで、ジェームズ・フィリモア氏とその傘のことを思い出してほしいとだけ、そっと記しておこうと思う》

フィリモア氏の謎
 ホームズの《語られざる事件》のひとつで、ジェームズ・フィリモア氏が警察の監視の中、傘を取りに屋敷に戻ったまま、二度と姿をあらわさなかったという事件。「ソア橋」で言及されている。
 後に、カーは「ハイゲイトの奇蹟事件」(『シャーロック・ホームズの功績』所収)で、クイーンは「ジェイムズ・フィリモア氏の失踪」で、この謎をあつかった。


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誘拐

『誘拐トリックス』あすな峡 三一書房
 【ガイドブック】
 【ネタバレ度:高】


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あやつり

 ある事件において実行犯とは別に、犯行を計画した黒幕的犯人が存在しており、しかも単なる教唆犯ではなく、実行犯が自らの意思で犯行を計画し、実行したと思い込むように誘導すること。法での裁きは難しい傾向がある。

「『攻殻機動隊』とエラリイ・クイーン」小森健太朗
 【評論】
 【分類:あやつり】
 【ネタバレ度:高】
 第一レベル、あやつる主体が意図したことを、その手足となる手下が実現している。
 第二レベル、〈源泉〉と実行者の間に認識のズレがある、いわば非対称な〈あやつり〉。
 第三レベル、実行者が、〈源泉〉の意図を超越して行為する。
 第四レベル、あやつる者とあやつられる者に逆転現象が生じている。
 第五レベル、あやつるのは不在の神ないし超越者、あるいは偶然と名づけられる空虚なる存在ないし無である。


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暗号

『暗号』長田順行 ダイヤモンド社 1971 決定版 社会思想社現代教養文庫 1985

『暗号と推理小説』長田順行 ダイヤモンド社 1979


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叙述トリック

叙述トリック試論」我孫子武丸(『小説たけまる増刊号』所収)
 【評論】
 【ネタバレ度:中】
 分冊された文庫版も出ているが「叙述トリック試論」は割愛されているので注意。

掟上今日子叙述トリック西尾維新(『掟上今日子の家計簿』所収)
 【短編】
 【講義:叙述トリック
 【ネタバレ度:中】
 掟上今日子による講義。
 ①場所の誤読
 ②時間の誤読
 ③生死の誤読
 ④男女の誤読
 ⑤人物の誤読
 ⑥年齢の誤読
 ⑦人間の誤読(人間と人間以外とを読み間違えさせる)
 ⑧人格の誤読(多重人格)
 ⑨語り部の誤読(語り部自身が勘違いしている場合)
 ⑩作中作の誤読
 ⑪在不在の誤読(その場にいるのにいないと思わせたり、その場にいないのにいると思わせたりする)
 ⑫外回りの誤読(本の表紙や裏表紙、カバーや帯を利用)
 ⑬人数の誤読(登場人物紹介表に載っていない犯人)
 ⑭その他の誤読

『探偵小説と叙述トリック ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?』笠井潔
 【評論】
 【ネタバレ度:高】

叙述トリックを成功させる方法」折原一
「手段としての叙述トリック――人物属性論」我孫子武丸
(『ミステリーの書き方』所収 日本推理作家協会/編著 幻冬舎 2010)
 【エッセイ】
 【ネタバレ度:中】


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ダブルミーニング

 ダブルミーニングとは言葉の多義性、または曖昧さを利用したミスディレクションの一種。たとえば「モモ」という言葉を果物の「桃」と思い込んでいたら、実はネパール料理の餃子である「モモ」のことであり、その結果、謎・矛盾・錯誤が生じているような場合。

「複雑な殺人芸術 The Complex Art of Murder」法月綸太郎(『法月綸太郎ミステリー塾 海外編 複雑な殺人芸術』所収 講談社 2007)
 【評論】
 【ネタバレ度:高】
 『ウィチャリー家の女』『さむけ』(ロス・マクドナルド)を題材に。←ロス・マクドルドはハードボイルド系の作家ですが、チャンドラーやハメットと違って本格度が高い。


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詭弁トリック

「詭弁トリックの系譜」市川尚吾(『ニアミステリのすすめ 新世紀の多角的読書ナビゲーション』所収 探偵小説研究会/編著 原書房 2008)
 【評論】
 【ネタバレ度:高】
 詭弁トリックという用語は耳慣れないが、ユニークな着想。現実的には成立しないが、フィクションの内部では通用するようなトリック。しばしば法螺話めいているが、とはいえホラーでもファンタジーでもなく、ミステリーとして作品世界内での合理性は保持される。
 山口雅也『奇偶』や泡坂妻夫『夢の密室』を中心的な話題としている。


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奇術・超能力

 奇術のトリックはミステリーとの親和性が高いが、それをそのまま使用するだけだと、安易との非難は免れない。演出やプロットに工夫が必要。

『11枚のとらんぷ』泡坂妻夫
 【長編】
 作中作はメンタル・マジックの入門編としても読める。

『トリックものがたり』松田道弘
 【エッセイ】
 【ネタバレ度:中】
 《困難を分割せよ》とはデカルトの言葉。

『超能力のトリック』松田道弘
 【ネタバレ度:高】

マジック大全松田道弘 岩波書店 2003
 【ネタバレ度:高】


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物理トリック

「『アリス・ミラー城』殺人事件」北山猛邦
 【長編】
 【講義:物理トリック】
 『人間の意図によるトリック』と『自然現象によるトリック』。
 物理トリックの脆弱性の問題。
 物理トリックの条件。
 一、物理法則にかなっていること
 二、単独による施行
 三、新規性
 四、必然性
 五、殺人に関連していること
 六、詩的であること


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科学

『化学トリック=だまされまいぞ! 化学推理クイズ』山崎昶
 【クイズ】
 姉妹編として『数学トリック=だまされまいぞ! 数学発想クイズ』(仲田紀夫)もある。

『ミステリーを科学したら』由良三郎
 【エッセイ】
 【ネタバレ度:高】
 ミステリーで描かれた事件を科学的に検証し、粗探しをするという趣旨の内容だが、必要以上に(というか必要もないのに)ネタバレが多い。

推理小説を科学する――ポーから松本清張まで』畔上道雄 講談社ブルーバックス 1983
 【エッセイ】


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動機

「異様な犯罪動機」江戸川乱歩(『探偵小説の「謎」』所収)
 【評論】
 一、感情の犯罪(恋愛、怨恨、復讐、優越感、劣等感、逃避、利他)
 二、利慾の犯罪(物慾、遺産問題、自己保全、秘密保持)
 三、異常心理の犯罪(殺人狂、変態心理、犯罪のための犯罪、遊戯的犯罪)
 四、信念の犯罪(思想、政治、宗教等の信念にもとづく犯罪、迷信による犯罪)


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作家別・作品別

「J・D・カー問答」(『続・幻影城』所収)江戸川乱歩
 【エッセイ】

「新カー問答」(『トリックものがたり』所収)松田道弘
 【エッセイ】

「結カー問答」山口雅也創元推理文庫版『貴婦人として死す』カーター・ディクスンの解説)

『増補改訂版 刑事コロンボ完全捜査記録』町田暁雄・えのころ工房
 【ガイドブック】
 【ネタバレ度:低】
 コロンボと言えば倒叙形式と逆トリック。
 ネタバレはギリギリないが、全話のあらすじが掲載されていて重宝する。

アガサ・クリスティー完全攻略』霜月蒼 講談社 2014
 【書評】クリスティー全作品の解説。
 【ネタバレ度:中】《巻末ノート1 本文中のネタバレ箇所》。

『乱歩ワールド大全』野村宏平 洋泉社 2015
 【評論】
 【ネタバレ度:高】
 《第三章 乱歩作品 類別トリック集成》では、乱歩作品で使われたトリックを「類別」の分類に準じてまとめている。

鮎川哲也の論理 本格推理ひとすじの鬼』三國隆三
 【評伝】
 【ネタバレ度:中】
 鮎川と言えばアリバイ・トリック。

松本清張 時代の闇を見つめた作家』権田萬治 文藝春秋 2009
 【評論】
 【ネタバレ度:高】
 《第六章 清張ミステリーのトリックと名探偵》では清張作品で使われたトリックを概観している。

『おかしな二人 岡嶋二人盛衰記』井上夢人 講談社 1993
 【自伝】
 【ネタバレ度:高】
 岡嶋二人の誕生から消滅まで。

金田一少年の事件簿公式ガイドブック3 全事件トリック完全攻略作戦』週刊少年マガジン編集部/監修 公式ガイドブック制作スタッフ/責任編集 講談社 1997
 【ガイドブック】
 【分類:トリック全般】『金田一少年』で使用されたトリックを分類。
 【ネタバレ度:高】

空想科学読本12[科学で解けない長難問]編』柳田理科雄 メディアファクトリー 2012
 【ネタバレ度:高】
 《『名探偵コナン』全殺人事件リスト》では、各事件の犯行動機がリストアップされている。

『一級ミステリー』馬場啓一 同文書院 1993
 【梗概】
 【ネタバレ度:高】
 ミステリーの名作13作品の梗概。


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バールストン先攻法(ギャンビット)

エラリー・クイーンの世界』フランシス・M・ネヴィンズJr.
 【評論】
 ある事件において、真犯人はみずから死んだように偽装し、その結果、容疑の圏外へと逃れるという工作。犯人はしばしば、その後も犯行を重ねる。解決編で探偵役に正体をあばかれ、一同おどろくこととなる。
 ドイルの『恐怖の谷』に由来する。
 クイーンの30年代初期の作品にこのモチーフが繰り返し使用される。


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ミステリーの定義

 ①発端の謎
 ②中段のサスペンス
 ③結末の意外性
 ④謎解きの論理性
 以上の四つが本格ミステリの主要素とよく言われる。ただし、サスペンスや意外性は必須ではない、という意見もある。

「探偵小説の定義」江戸川乱歩(『幻影城』所収)
 【評論】
 《探偵小説とは、主として犯罪に関する難解な秘密が、論理的に、徐々に解かれて行く経路の面白さを主眼とする文学である》

甲賀三郎の定義
 《探偵小説とは、まず犯罪――主として殺人――が起こり、その犯人を捜査する人物――必ずしも職業探偵に限らない――が、主人公として活躍する物語である》

『天狗の面』土屋隆夫
 【長編】
 《一言にして言えば、探偵小説とは、割り算の文学である。しかも、多くの謎を、名探偵の推理をもって明快に割り切った場合、そこにはいささかの余りがあってもならない。
  事件÷推理=解決
 この数式に示された解決の部分に、剰余、即ち未解決の部分や疑問が残されてはならないのである》という有名な数式(?)が登場。

『海外ミステリ・ハンドブック』早川書房
 【ガイドブック】
 《事件・謎×(捜査+推理)=真相》は有栖川の数式。

本格ミステリー宣言』島田荘司
 【評論】
 《本格ミステリーとは、幻想的な謎と、高度な論理性の二つを有する小説である》


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ミステリーの書き方本

 こういう本にもトリックの解説が含まれる。

『ミステリーの書き方』日本推理作家協会/編著
 【小説作法】
 多数の作家によるアンソロジー形式で編纂されている。

本格ミステリ鑑賞術』福井健太 東京創元社 2012
 【評論】
 【ネタバレ度:高】
 現代の『続・幻影城』。必携の書。

『ミステリの書き方』H・R・F・キーティング 1986
 【小説作法】

推理小説作法』土屋隆夫 光文社 1992
 【小説作法】

『ミステリーはこう書く! ~最新完全メソッド』若桜木虔
 【小説作法】
 【ネタバレ度:高】
 トリックについてはアリバイ・密室・身代金奪取が詳しい。比較的新しい年代(90年代頃)の作品が多い。

アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(下)』アガサ・クリスティー&ジョン・カラン
 【創作メモ】
 【ネタバレ度:高】

『小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない』大沢在昌 角川書店 平成24
 【小説作法】

『ミステリアス学園』鯨統一郎
パラドックス学園』同
 【長編】
 小説を読みながら、ミステリーの勉強ができる。


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歴史ミステリー

『歴史ミステリー講座』井沢元彦中津文彦高橋克彦
 【小説作法】
 【ネタバレ度:高】


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法廷ミステリー

『雨月荘殺人事件』和久峻三
 【長編】
 公判調書を併用しながら、実際に裁判に参加している感覚で読める。ただし、裁判員制度が導入される以前の作品。


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トリックの再使用

『推理日記Ⅱ』佐野洋
 【エッセイ】
 本書には都筑道夫との間で交わされた《名探偵論争》が収録されていることで有名ですが、ここで注目したいのは《同一トリックの再使用について》。佐野の考え方は比較的穏当(簡単に言えば再使用容認派)と言える。

「トリック問答」(『本格ミステリーを楽しむ法』所収)鮎川哲也
 【エッセイ】
 上記の佐野とは対極の意見。


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視点・語り手

「語り手の設定」北村薫
「視点の選び方」真保裕一(共に『ミステリーの書き方』所収)
 【エッセイ】


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本格ミステリー論」(『本格ミステリー宣言』所収)島田荘司
 【評論】
 《吸引力のある「美しい謎」が、初段階で必ず必要》
 《第二のそれは、「論理性」、「思索性」》
 《「幻想味」と「論理性」》


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手がかり・伏線

『ぼくのミステリ作法』赤川次郎
 【小説作法】
 《並列法》は手がかりの隠し方。

綾辻行人有栖川有栖のミステリ・ジョッキー②』
 【対談】
 《第5回 特別編 公開ライヴ!》の《陰の伏線、陽の伏線》。

綾辻行人殺人事件 主たちの館』綾辻行人・監修
 陽の手がかり。見える手がかり。《「これは手がかりである」》
 陰の手がかり。たとえば、現場から何かがなくなっていることが手がかりであるとして、小説ならその事実を書かなければならない。しかし、舞台や映像なら、たださりげなく無くしておけばいい。

『シャム双子殺人事件』エラリー・クイーン
 【長編】
 《手掛りはいつも何かがあることとは限らない。しばしば何もないことが手掛りになることもある》(石川年訳)


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フェアプレイ

本格ミステリー館にて』島田荘司綾辻行人
 【対談】
 三人称の地の文においては、虚偽の記述をしない。
 たとえば、本当は中年男が年寄りに変装しているのに、その変装した人物を指して地の文で「老人」と記してはいけない。
 《死体の入れ替わり》トリックで、本当はAという人物の死体だが、犯人の工作によってBの死体だと登場人物が誤認する場合、そうであっても三人称の地の文では「Bの死体」と明記してはいけない。
 また、本当は死んだ真似をしているだけの人間を指して「死体」と書いたり、本当は自殺なのに「殺人」と書いたりしてはいけない。
 一方、一人称の場合は、語り手がある事実を誤認していた場合、《虚偽の記述》も必然的になされうる。


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スリルとサスペンス

ヒッチコック 映画術 トリュフォー
 【対談】
 【ネタバレ度:中】
 サスペンス映画の巨匠ヒッチコックが自身の創作技法を語る。


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認知科学ミステリ

新本格ミステリの話をしよう』佳多山大地
 【評論】
 作中の登場人物の頭のなかに何らかの〈錯誤〉がある場合で、その当該人物が――信用できない語り手が――見て語る〈世界〉そのものに固有の歪みが生じているケースを扱う作品群。
 『向日葵の咲かない夏』『シャドウ』(道尾秀介)など


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連作長編

「連作ミステリの私的方法論」北森鴻(『ミステリーの書き方』所収)
 【エッセイ】
 それぞれが短編として完結しながら最後の一話によって全く別の一面を読者にみせるタイプのもの。


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デス・ゲーム

「サバイバル・ゲームと本格ミステリの融合――矢野龍王論」小森健太朗(『探偵小説のクリティカル・ターン』所収 限界小説研究会)
 【評論】
 ルールバトル、デスゲームでは、物語としてよくできているかどうかを判定するいくつかのポイントがある。
 (1)与えられた状況で、できるかぎりの情報収集、状況把握。
 (2)登場人物たちが所与の状況下で最善手をうっていると納得できる。
 (3)ルールの展開についての熟知・検討。
 (4)閉鎖状況にプレーヤーたちを監禁に追い込んだ主催者にとって、そのゲーム開催の動機と理由についても、できれば納得のいく説明が与えられるのが望ましい。


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公案小説

『中国ミステリー探訪 千年の事件簿から』井波律子 日本放送出版協会 2003
 【ガイドブック】
 【ネタバレ度:高】


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アンチ・ミステリー

『「アンチ・ミステリー」という怪物』千街晶之(『幻視者のリアル 幻想ミステリの世界観』所収 東京創元社 2011)
 【評論】


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ノックスの十戒

 ①犯人は物語の冒頭あたりから登場しているべき
 ②超自然的な要因を持ち込まない
 ③秘密の部屋や通路は導入しない
 ④未発見の毒や、長々とした科学的解説を必要とする装置は用いない
 ⑤中国人を登場させてはならない
 ⑥偶然による解決は許されない
 ⑦探偵自身が犯人であってはならない
 ⑧探偵が得た手がかりは、即座に読者にも公開されなければならない
 ⑨ワトスン役の思考は隠されてはならず、またその知能は平均よりもわずかに低くなければならない
 ⑩存在が予測できない双生児や瓜二つの人物は登場させてはならない
 ……とはいえ、「十戒」を破りつつも名作と呼ばれる作品は、たくさんある。
 《ヴァン・ダインの二十則》や《カーの四大公理》も同様。